ピアノ学習者にとって最も気になることの一つが曲の難易度ではないでしょうか?もちろん人により得手不得手の分野が違い、同じ曲であっても感じ方が異なるため、単純に数字で表しきれないものですが、レッスン計画を立てたり良い目標を持って練習するためには、難易度についての知識も必要ですね。今回は6段階から28段階まで、難易度を調べるためのおすすめツールをご紹介します。
難易度を調べるためのおすすめツール
ピアノ曲の難易度を調べたい時に、昔から使われてきた方法が、楽譜出版社の難易度表を活用することですが、出版社によって初級・中級・上級の基準が異なるということを念頭に置いておく必要があります。そして当然のことですが、その出版社から出ている曲集もしくは曲についてのみ難易度を調べられます。
1. 全音楽譜出版社の難易度表
日本のピアノ学習者に一番馴染みがあるのが、全音楽譜出版社の楽譜の最後のページに載せられている難易度表ではないでしょうか?第1〜6課程の6段階に分類されています。同じく全音のピアノピースの曲もA〜Fの6段階に分けられていますね。全音の難易度表の良い点は、よく使われるピアノ教本が分類の基準になっていて、難易度のイメージを把握しやすい点です。
- 第1課程(初級下・A):バイエル程度
- 第2課程(初級上・B):ツェルニ−100番、ブルグミュラー25番程度
- 第3課程(中級下・C):ツェルニー30番程度
- 第4課程(中級上・D):ツェルニー40番程度
- 第5課程(上級下・E):ツェルニー50番程度
- 第6課程(上級上・F):ツェルニー60番、ショパンのエチュード程度
昔は上のように色分けした帯が楽譜についていました。全音の難易度は、誰が難易度を決めたのか明らかにされておらず、時々「?」と思う判定もありますが、現在学習中の教材と同レベルの作品が一目でわかる上、一つ上の段階も載せられていて次の目標を明確にするのに役立ちます。
2. G. HENLE(ヘンレ)社のピアノ作品難易度
原典版でよく知られているG. HENLE(ヘンレ)社のウェブサイトでは、Rolf Koenen教授による難易度を公開しています。初級〜上級をそれぞれ3つずつに分け、9段階の評価です。例えば、ショパンのワルツでも、「子犬のワルツ」は6、「別れのワルツ」は5というように、作品に含まれている一曲一曲について難易度が示されているので、より詳しく難易度を調べられます。また、同じ難易度の曲を検索する機能もついていて、曲選びの際にも役立ちます。
3. 「あるピアニストの一生」ウェブサイト
世の中にはなんと28段階に分類された難易度もあります!下の表は「あるピアニストの一生」というウェブサイトに紹介されている「28段階難易度」に基づいて作ったという、ブログ「ぴあのピアノ♪」で紹介されている大作曲家のピアノソナタ難易度マップです。すごくわかりやすいですね!
「あるピアニストの一生」は、京大卒のピアニスト・合唱指揮者として活躍された田所政人氏のご子息が、氏が生前に残されたピアノ作品に関する研究資料を公開してくださっているウェブサイトです。偉大な作曲家の作品やピアノ教本や曲集に収録されている膨大な数の曲についての難易度や評価が載せられていて大変参考になります。
28段階の難易度というと最初はレベルのイメージが湧きにくいかもしれませんが、例えばよく使われているツェルニー練習曲の難易度をこの28段階で示すと、次のようになります。
- ツェルニ−100番:4〜13
- ツェルニー30番:11〜15
- ツェルニー40番:14〜22
- ツェルニー50番:21〜26
また、このウェブサイトには「難易度別 おすすめピアノ曲一覧表」というコーナー(こちら)があり、レベル3からレベル28までおすすめの曲が50曲ずつ載せられています。連弾曲も含むバラエティに富んだ選曲になっていて、曲選びやレッスン計画を立てる際に非常に役立ちます。
PianoLevels.comの難易度投票にもぜひご参加ください
いかがでしたか?難易度は相対的なもので、人によって基準や感じ方に差があるということを念頭に置きつつも、おおよその難易度を知り、参考にすることによって、目標を持って楽しく練習してくださいね。PianoLevels.comの難易度投票にもぜひご参加お待ちしています!
TeeJay
ピアノ教師。海外のとある国でピアノを教えつつ感じたのは、良質の楽譜に容易に接することができる環境は本当にありがたいということ。ピアノレッスンや練習で、テクニックの習得だけでなく、音楽を表現する楽しみを味わうのに役立ついろいろな楽譜をご紹介しています。
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