もはや必須?ショパンのエチュードの前に、モシュコフスキー「15の練習曲」Op. 72

モシュコフスキー 15の練習曲(全音楽譜出版社)
モシュコフスキー 15の練習曲(全音楽譜出版社)

最近は試験やコンクール曲として使われる機会も増えた、モシュコフスキー「15の練習曲」Op. 72。ショパンをはじめ偉大な作曲家のエチュードに取り組む前の準備として活用したい一冊です。もはや必須(?)かもしれません。

スポンサーリンク

モシュコフスキー「15の練習曲」Op. 72

モシュコフスキー 15の練習曲(全音楽譜出版社)
モシュコフスキー 15の練習曲(全音楽譜出版社)

モシュコフスキー「15の練習曲」(15 Études de Virtuosité)Op. 72は、「15の熟練のための(もしくは、名人芸の)練習曲」とも呼ばれ、難易度は上級前半程度です。一般的にはツェルニー40番を終えた後、ショパンのエチュードに入る前に用いられますが、ツェルニー40番をしっかり学んでいないと難しいので、クラーマー=ビューロー練習曲やツェルニー50番と併用して用いることもあります。

ツェルニーの練習曲には賛否両論あるものの、体系的に作られていて、確かな技術を効果的に身につけるのに適した教材ですが、技術の習得に重点が置かれているため、音楽的な面が多少犠牲になってしまっている面も否めません。また、ツェルニーは年下のショパンよりも長生きしましたが、師であるベートーヴェンの影響が色濃く出ています。

モーリツ・モシュコフスキー (Moritz Moszkowski, 1854-1925)

その点、19世紀の終わりから20世紀の初めにかけて活躍したモシュコフスキーの練習曲は、華やかで洗練された響きをもち、かつテクニック向上のための工夫と豊かな音楽性を備えています。特に高度なテクニックと音楽性を養う「15の練習曲」Op. 72は、ショパンをはじめとする大作曲家たちのエチュードにとりかかる前の準備段階として活用したい教材です。

スポンサーリンク

収録曲をYouTubeで聴いてみよう!

『15の練習曲』第2番 ト短調

(from: gabqb)

『15の練習曲』第6番 へ長調

(edgelee84)

『15の練習曲』第11番 変イ長調

(from: Russian Rarities)

『15の練習曲』第13番 変イ短調

(from: 広瀬悦子 – トピック)

モシュコフスキー『15の練習曲』Op. 72(全曲)

(from: musicisgoodforyou)

全音からはモシュコフスキーの『16の技術練習曲(Esquisses techniques)』Op. 97という珍しい楽譜も出版されています。こちらは『15の練習曲』と難易度は大体同じか少し易しいですが、よりテクニックに注意が向けられていて、美しい曲はもちろん面白い練習曲も含まれています。

『16の技術練習曲』第9番 ハ長調

(from: AntMayte)

『16の技術練習曲』第10番 ト短調

(from: KateLeePiano)
スポンサーリンク

楽譜はこちらから


いかがでしたか?華やかな技巧と美しい旋律が魅力的な曲は、発表会用のレパートリーとしても使えそうですね。単なる練習曲にとどまらず、芸術の域に達した本格的なエチュードへの準備段階として、ぜひ活用してみてくださいね。

TeeJay

TeeJay
ピアノ教師。海外のとある国でピアノを教えつつ感じたのは、良質の楽譜に容易に接することができる環境は本当にありがたいということ。ピアノレッスンや練習で、テクニックの習得だけでなく、音楽を表現する楽しみを味わうのに役立ついろいろな楽譜をご紹介しています。

タイトルとURLをコピーしました