
今や世界的なピアニストがレパートリーに取り入れ、国際コンクールでも弾かれるカプースチン(1937〜2020年)。今回は、「8つの演奏会用エチュード」と並んで人気の高い、「24のジャズ・プレリュード」Op.53の楽譜をご紹介します。
「24のジャズ・プレリュード」Op. 53

「24の前奏曲」は全ての調性をめぐるバッハの「平均律クラヴィーア曲集」の構成を継承し、ショパンやショスタコーヴィッチなど様々な作曲家が名曲を生み出してきた分野ですが、カプースチンはジャズとクラッシックの融合という新たな切り口でこの分野にもう一つの傑作を生み出しました。彼はさらに「24の前奏曲とフーガ」Op.82も完成させています。恐るべき創作力ですね。
「24のジャズ・プレリュード」は、プレリュード(前奏曲)という名の通り、演奏時間2分程度の短めの曲に分かりやすいジャズの要素が織り込まれていて、難易度も中級〜上級程度と幅があるので、「8つの演奏会エチュード」よりも取り組みやすくジャズの要素も楽しめるという感想の多い曲集です。
カプースチンの楽譜は以前は全音やプリズムから出ていましたが、廃版となりプレミアが付いています。現在はショット・ミュージック社からカプースチンの様々な作品が出版されていて、ダウンロード版も購入できます。
「24のジャズ・プレリュード」の調性と難易度
比較的易しくて弾きやすいのはしっとりと聴かせる第5番 ニ長調、一方オープニングにふさわしく、華麗で映える第1番 ハ長調や、めまぐるしい動きで締めを飾る第24番 ニ短調はかなり難しい曲です。多くの演奏者に人気の第23番 へ長調は、程よいテンポに軽快で心地良いメロディーが魅力的な一曲です。
1番 ハ長調 | 2番 イ短調 | 3番 ト長調 |
4番 ホ短調 | 5番 ニ長調 | 6番 ロ短調 |
7番 イ長調 | 8番 嬰へ短調 | 9番 ホ長調 |
10番 嬰ハ短調 | 11番 ロ長調 | 12番 嬰ト短調 |
13番 変ト長調 | 14番 変ホ短調 | 15番 変ニ長調 |
16番 変ロ短調 | 17番 変イ長調 | 18番 へ短調 |
19番 変ホ長調 | 20番 ハ短調 | 21番 変ロ長調 |
22番 ト短調 | 23番 へ長調 | 24番 イ短調 |
上の表は各曲の難易度を非常に大まかですが、中級後半<上級前半<上級後半と色分けしたものです。これらの曲をレパートリーにお持ちであれば、ご自身が感じる難易度をPianoLevels.comにぜひご投稿ください。
収録曲をYouTubeで聴いてみよう!
カプースチン「24のジャズ・プレリュード」Op. 53(全曲)
「24のジャズ・プレリュード」Op. 53 第9番
「24のジャズ・プレリュード」 Op. 53 第11番
「24のジャズ・プレリュード」Op. 53 第23番
楽譜はこちらから
いかがでしたか?ジャズの要素を存分に楽しめるカプースチンの「24のジャズ・プレリュード」。簡単に弾ける曲ばかりではありませんが、一曲一曲が短いのでレパートリーにしておくと、ちょっと1曲という時に役立ちます。ぜひ弾いてみて下さいね。

TeeJay
ピアノ教師。海外のとある国でピアノを教えつつ感じたのは、良質の楽譜に容易に接することができる環境は本当にありがたいということ。ピアノレッスンや練習で、テクニックの習得だけでなく、音楽を表現する楽しみを味わうのに役立ついろいろな楽譜をご紹介しています。
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