
今は世界中の様々な音楽に容易に接することができる時代なので、レッスンでも昔に比べていろんなジャンルの音楽を扱うようになりました。ジャズと共に押さえておきたい分野がラテン音楽ですが、今回はブラジル民俗音楽とクラッシックが融合したヴィラ=ロボスのおすすめピアノ作品集をご紹介します。
エイトール・ヴィラ=ロボス

「ヴィラ=ロボス ピアノ作品集」

国内ではカワイ出版から「ヴィラ=ロボス ピアノ曲集」(全6巻)が出ていたのですが、残念ながら現在第1巻以外は入手困難なようです。そこで今回ご紹介するのは、ミュージック・セールス社の「ヴィラ=ロボス ピアノ作品集」(原題 “The Piano Music of Heitor Villa-Lobos”)です。ヴィラ=ロボスの代表曲「ブラジル風バッハ第4番」や「ショーロス第5番 “ブラジルの魂”」が収録されている他、子どものための曲から本格的な曲まで盛りだくさんでお得な一冊です。
「ヴィラ=ロボス ピアノ作品集」の収録曲
- 「赤ちゃんの一族 第1集」より 2.「小麦色の娘」
- 「赤ちゃんの一族 第1集」より 4.「ムラートの娘」
- 「赤ちゃんの一族 第1集」より 7.「道化師」
- 「実用の手引き 第1巻」より「夜明け」
- 「実用の手引き 第1巻」より「満潮」
- 「実用の手引き 第1巻」より「薔薇」
- 「実用の手引き 第1巻」より「脚の不自由な少女」
- 「実用の手引き 第1巻」より「ヴィオラの弦で」
- 「実用の手引き 第8巻」より「レモン」
- 「実用の手引き 第8巻」より「五斂子」
- 「実用の手引き 第8巻」より「貧しい盲目の女性」
- 「実用の手引き 第8巻」より「フランシスコ神父」
- 「実用の手引き 第8巻」より「飛べ、小鳥よ!」
- 「実用の手引き 第8巻」より「農夫の娘」
- 「実用の手引き 第8巻」より「小さな白いドレス」
- 「実用の手引き 第9巻」より「小さなオレンジの木」
- 「実用の手引き 第9巻」より「小さな鳩、ちっぽけな鳩」
- 「実用の手引き 第9巻」より「輪舞」
- 「実用の手引き 第9巻」より「9人娘を持つ年老いた女性」
- 「実用の手引き 第9巻」より「不変のもの」
- 「実用の手引き 第9巻」より「城」
- 「単純な様式による印象」 1.「神秘的なワルツ」
- 「単純な様式による印象」 2.「妖精のゆりかごの中で」
- 「単純な様式による印象」 3.「水車」
- 「ショーロス 第5番」(ブラジルの魂)
- 「ブラジル風バッハ 第4番」 1.「前奏曲(序奏)」
- 「ブラジル風バッハ 第4番」 2.「コラール(奥地の歌)」
- 「ブラジル風バッハ 第4番」 3.「アリア(カンティガ)」
- 「ブラジル風バッハ 第4番」 4.「踊り(ミゥジーニョ)」
- 「ブラジルの詩」 1. 「田舎の苗植え」
- 「ブラジルの詩」 2.「吟遊詩人の印象」
- 「ブラジルの詩」 3.「ジャングルの祭り」
- 「ブラジルの詩」 4.「白いインディオの踊り」
- 「花の組曲」 1.「夏の牧歌」
- 「花の組曲」 2.「歌う田舎娘」
- 「花の組曲」 3.「庭園での楽しみ」
- 「ブラジルの子どもの謝肉祭」より 3.「ピエロの気まぐれ」
- 「ブラジルの子どもの謝肉祭」より 2.「小さな悪魔のむち」
- 「壊れたオルゴール」
- 「単純な詩」
収録曲をYouTubeで聴いてみよう!
「赤ちゃんの一族 第1集」より
「赤ちゃんの一族(A Prole do Bebê)」の第1集は1920年に作曲された8曲からなる小品集です。第2集が1921年に作曲され、第3集は消失してしまいました。
「小麦色の娘(紙人形)」(Moreninha)
「ムラートの娘(ゴム人形)」(Mulatinha)
「道化師」(O Polichinelo)
「実用の手引き」より
「実用の手引き」(Guia Prático)は1932〜1949年にかけて教育用に作曲された全11巻の作品です。各巻には100曲以上の曲が収録されていたと言われていますが、残念なことに大部分が消失してしまい、現在はその一部が知られているだけです。
「満潮」(A maré encheu)
「脚の不自由な少女」(Manquinha)
「飛べ、小鳥よ!」(Xô, Xô, Passarinho)
「小さなオレンジの木」(Laranjeira Pequenina)
「単純な様式による印象」
「単純な様式による印象(Simples coletânea)」(全3曲)
「ショーロス 第5番 ブラジルの魂」
「ショーロス(Chôros)」はヴィラ=ロボスの代表作の一つ。全16曲で構成され(13、14番は消失)、曲により使用される楽器の編成が異なります。第5番「ブラジルの魂」(1926年)は唯一のピアノ独奏曲です。ちなみにショーロとは、19世紀末から20世紀初頭にかけてリオ・デ・ジャネイロで流行った民衆音楽の一つです。
「ショーロス 第5番 ブラジルの魂」(Chôros nº 5 Alma brasileira)
「ブラジル風バッハ 第4番」
「ブラジル風バッハ(Bachianas Brasileiras)」もヴィラ=ロボスの代表作の一つです。バッハを敬愛したヴィラ=ロボスがブラジル民俗音楽の素材をバッハの精神と結びつけました。全9作のこのシリーズも曲により楽器の構成が変わり、第4番は唯一のピアノ独奏曲です。
「ブラジル風バッハ 第4番(Bachianas Brasileiras)」(全曲)

「ブラジル風バッハ 第4番」2.「コラール(奥地の歌)」を楽譜付きでご覧になりたい方はこちらの動画をどうぞ!
「ブラジルの詩(Ciclo Brasileiro)」より

発表会や演奏会のレパートリーとしてステージ映えする曲ですよ!
「吟遊詩人の印象」(Impressões Seresteiras)
「白いインディオの踊り」(Dança do Indio Branco)
「花の組曲」
「花の組曲(Suíte Floral)」(全曲)
その他
「壊れたオルゴール(Caixinha de Música Quebrada)」
「単純な詩」(Poema Singelo)
楽譜はこちらから
いかがでしたか?ヴィラ=ロボスの音楽は、ブラジルの民俗音楽がクラシック音楽と融合し、ラテン音楽の情熱やリズムが芸術の域に達したものです。今世紀にはヴィラ=ロボスの音楽がより一層の理解と評価を受けることでしょう。ぜひご自身のレパートリーに付け加えてみてください!

TeeJay
ピアノ教師。海外のとある国でピアノを教えつつ感じたのは、良質の楽譜に容易に接することができる環境は本当にありがたいということ。ピアノレッスンや練習で、テクニックの習得だけでなく、音楽を表現する楽しみを味わうのに役立ついろいろな楽譜をご紹介しています。
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