ブルグミュラーの「25の練習曲」は大変ポピュラーな教材ですが、それに比べて「18の練習曲」は(さらに「12の練習曲」も)存在は知っていてもあまり活用の機会がない教材かも知れません。今回はメロディーが美しく、ツェルニー30番と併用しながらロマン派への導入に使える「18の練習曲」をご紹介します。
ブルグミュラー 18の練習曲
ブルグミュラー「18の練習曲」は「18の性格的な練習曲」とも呼ばれるように、音形の反復練習によるテクニック重視のタイプではなく、短い曲を音楽的に弾く練習をしながら必要なテクニックを学ぶタイプです。その点は「25の練習曲」と似ていて各曲に標題が付いていますが、難易度も上がり、より音楽的に豊かな内容になっています。
「18の練習曲」の難易度はツェルニー30番程度で、中級の初めから中くらい程度です。「25の練習曲」の次の段階という位置付けですが「25の練習曲」を終えてすぐに「18の練習曲」に入ると、少し難しく感じるかも知れません。
中級に入ると、バッハ『インヴェンションとシンフォニア』やモーツァルトやベートーベンのソナタはもちろん、ロマン派や近現代の様々な作品も取り上げたいものですが、レッスンの時間上、古典的作品に偏りがちです。しかしこの練習曲集は一曲が見開き2ページの長さなので、効率的にロマン派音楽への導入ができます。
ブルグミュラー「18の練習曲」の収録曲
曲名の日本語訳は出版社により多少異なります。
- ないしょ話(打ち明け話)/ Confidence
- 真珠 / Les perles
- 家路につく牧童(羊飼いの家路)/ Le retour du pâtre
- ジプシー(ボヘミアン)/ Les bohémiens
- 泉 / La source
- 陽気な少女(おてんば)/ L’enjouée
- 子守歌 / Berceuse
- アジタート / Agitato
- 朝の鐘(夜明けの祈りの鐘)/ La cloche des matines
- すばやい動き(全速力)/ La vélocité
- セレナード / La sérénade
- 森での目覚め(木立の中の目覚め)/ Le réveil dans les bois
- 大雷雨(雷雨)/ L’orage
- ゴンドラの船頭歌(ゴンドラ漕ぎの歌)/ Refrain du gondolier
- 空気の精(風の精たち)/ Les Sylphes
- 別れ(別離)/ La séparation
- マーチ / La marche
- 紡ぎ歌 / La fileuse
収録曲をYouTubeで聴いてみよう!
ブルグミュラー「18の練習曲」1〜6番
ブルグミュラー「18の練習曲」7〜12番
ブルグミュラー「18の練習曲」13〜18番
楽譜はこちらから
ブルグミュラーコンクールを運営している東音企画の楽譜です。アナリーゼ楽譜をオンライン公開もしています。
音楽之友社の新校訂版 New editionは初版に近い版に準拠していて、これまで流通してきた楽譜とは異なる部分もある、新しい楽譜です。
全音の楽譜には「標準版」と「北村版」があります。北村版は、原典版とされる初版本を底本に校訂され、各練習曲の練習目的を明確にした表がついています。
いかがでしたか?ツェルニー30番や40番と併用して本格的なロマン派の曲への導入として活用できる中級の練習曲には、ヘラーやモシュコフスキーの練習曲もあります。学習者の特性や好みに合わせてバランス良く選んでみてくださいね。
TeeJay
ピアノ教師。海外のとある国でピアノを教えつつ感じたのは、良質の楽譜に容易に接することができる環境は本当にありがたいということ。ピアノレッスンや練習で、テクニックの習得だけでなく、音楽を表現する楽しみを味わうのに役立ついろいろな楽譜をご紹介しています。
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